December 01, 2024

初代門司港駅遺構の保存のために、とりこわし工事の中止と同契約の破棄を求める住民監査請求

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埋蔵文化財の保護というよりも、社会問題あるいは社会運動の研究のつもりでbystanderとして調べはじめたことなのだが、門司港地域複合公共施設整備事業について住民監査請求書を出すことになってしまった。

2024年11月13日(水) 提出
2024年11月21日 (木) 受理
2024年11月22日 (金) 補正等の連絡あり
2024年11月25日(月) 補正書及び事実説明書(その3)の提出
2024年11月27日(水) 事実説明書(その2)の5ページ以降を追加提出
2024年11月27日(水) 証拠の提出及び陳述(30分)
2024年11月27日(水) 関係職員陳述会の立会い

自分が請求書の中で主張したことはどうみても間違いではないと信じているのだが、陳述会での監査委員からの質問や、監査委員と市側陳述者とのやりとり、監査委員4名の構成などから、どういう監査結果が出るかについては楽観的に考えることはできないように感じている。

陳述会で最後に強調した「暫定的停止勧告」が出されることなく、また、納得できない監査結果が出た場合にはどうするかを、初代門司駅遺構の保存に取り組んでいる人たちと相談することになるだろう。

[提出した文書]
住民監査請求書、事実説明書(その1)、事実説明書(その2)
事実説明書(その2)・4ページ以降を追加
事実説明書(その3)

上記文書ほかの一括ダウンロード

 

 

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November 06, 2024

「門司港地域複合公共施設既存構造物とりこわし工事監理業務委託」の入札に関する疑問

「入札情報公開サービスシステム(北九州市)」によって「門司港地域複合公共施設既存構造物とりこわし工事監理業務委託」の入札情報(表2)を調べると、「予定価格」のままの金額で入札に参加する業者ばかりであり、本気で入札に参加しているとは考えられない
しかも、1社が予定価格より少しだけ低い価格で落札し、その額が最低制限価格よりはかなり高い。「最低制限価格」の設定がまったく意味を持っていない。
また、辞退者が多いこと、「価格のばらつき」がほとんどないということなどの点で、談合があったことが推測される。

2023年10月以降にこの件を含めて13件の「監理業務委託」の指名競争入札が実施されている。その13件で、「予定価格と同額で入札に参加」した業者は、合計40社で、そのすべてが例外なく「落札を回避」できているので、その結果、13件の入札のすべてにおいて、それぞれ特定の1社に落札させることに成功している。

 

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指名競争入札 において自社の落札を避ける方法として、(1) 辞退、(2) 入札不参加による失格、(3) 予定価格と同額で入札に参加、(4) 予定価格よりも僅かに低い額で入札に参加、(5) 最低制限価格を予想しそれよりも低い額で入札に参加が採用されていると考えられる。ただし、上記の(4)及び(5)は、自社の落札を避ける方法としては、成功するとは限らない。なお、「失格」のケースにおいて、括弧書きで「入札不参加」と記されているものとそうでないものとがある。

「門司港地域複合公共施設既存構造物とりこわし工事監理業務委託」の入札(2)においては、上記の方法の(1)10社、(2)が1社であり、(3)「予定価格と同額で入札に参加」が5社となっている。

 

[表1]
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[表2]
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[表3]
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[表4]
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[表5]
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[表6]
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[表7]
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[表8]
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[表9]
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[表10]
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[表11]
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[表12]
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[表13]
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ダウンロード - 北九州市職員措置請求書(2024年11月13日提出)

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文化企画課(市民スポーツ局あるいは都市ブランド創造局)に、教育委員会や文化財保護審議会に代わって文化財保護の重要なものを決定する権限はない。

大庭千賀子副市長の、山内涼成議員の質問に対する答弁(令和6年2月 定例会(第1回) 02月28日-03号)
「先ほどから局長たちが言っているように、どうしても集約される対象の施設がまだ一部、現行の耐震基準を満たしていないような建物が残っております。これにじゃあ多額のお金をかけて耐震のための補修工事をするかというと、北九州市の財政状況を考えると、それはなかなか難しいこともございます。ここで立ち止まって調査をするということはイコール価値づけの調査[太字は申請者。以下同様。]につながり、それは文化財指定につながるための最初のプロセスの一歩ということで、これは私どもは、この地で複合公共施設を造ろうと思ったら、残念ながらそれはなかなか難しいということで、そこには入れないと。」

注:以下において出てくる「市民文化スポーツ局文化企画課」は、2024(令和6)年4月1日付けの組織改正により、「都市ブランド創造局文化企画課」となっている。

1. 北九州市教育委員会の権限事務の一部を教育長に委任し又は臨時に代理させる規則
教育委員会規則第7号では、教育委員会の権限事務の一部を教育長に委任することを規定しているが、文化財保護に関する5項目は、除外されている。つまり、この5項目の権限事務は、教育長に委任されていない。

2. 北九州市教育委員会事務専決規程
北九州市教育委員会事務専決規程によれば、文化財の保護及び活用に係る事業の実施、文化財の調査、指定及び管理に係る事業の実施、文化財保存事業の助成に係る事業の実施が列挙され、また、文化財保護審議会に関する事務を含めてそれらを市民文化スポーツ局長等の専決事項としている。ただし、専決事項の欄を見れば、「重要なものを除く」という限定が付けられている。最後の項目にはその限定が付けられていないが、この「文化財保護審議会に関する事務」は、北九州市文化財保護審議会規則第9条を参照すれば、審議会の「庶務」にあたるものである。審議会の重要な事項について決定する権限が市民文化スポーツ局長等に与えられているわけではない。

3. 北九州市文化財保護審議会規則
(所掌事務) 第2条 審議会は、北九州市の文化財について、教育委員会の諮問に応じ[太字は請求者]、調査審議し、答申する。
(庶務) 第9条 審議会の庶務は、市民文化スポーツ局文化部文化企画課において処理する。
この規則によれば、審議会に諮問をおこなうのは、教育委員会と規定されている。 また、「市民文化スポーツ局文化部文化企画課」が担当するのは、審議会の「庶務」となっている。

4. 北九州市教育委員会の権限に属する事務を市長の補助機関たる職員等に補助執行させることに関する規則(教育委員会規則第16号)
この規則によれば、「(教育委員会の権限に属する事務のうちで)市民文化スポーツ局長等に補助執行させる事務」として、「(4)文化財の保護及び活用に関すること。 (5)文化財の調査、指定及び管理に関すること。 (7)埋蔵文化財の保護に関すること。 (8)文化財保護審議会に関すること。」が列挙されている。しかし、「文化財保護の重要なもの」は、「補助執行」の意味からすれば、教育委員会での審議なしに決定されることはありえない

文化財保護審議会への諮問は、教育委員会の権限である。市民スポーツ局(あるいは都市ブランド創造局)のおこなうのは「補助執行」であって、文化財保護の役割は、市の規定上も、合議制の執行機関である教育委員会に残っている。 門司港地域での複合公共施設の建設を担当する市長部局の判断をそれまま受けいれ、初代門司港遺構の保存に関して文化財保護審議会への諮問をおこなわないとしたら、教育委員会は、文化財保護法に違反し、文化財保護上の重要な権限を放棄していることになる。

文化財保護上の重要なことは、北九州市の規則上も、教育長や市長部局の専決事項ではない。 「文化財保護の重要なもの」は、「補助執行」の意味からすれば、合議制の執行機関である教育委員会での審議なしに決定されることはありえない。文化企画課(市民スポーツ局あるいは都市ブランド創造局)に、教育委員会や文化財保護審議会に代わって文化財保護の重要なものを決定する権限はない。

北九州市議会の村上さとこ議員が2024年2月29日に文化庁に問い合わせ、文化資源活用課より3月5日に得られた回答によれば、「文化財保護に係る重要事項」とは、 純粋に文化的価値の観点からなされることが要請される地方文化財の指定に係る業務等であり、 「本来の職務権限者である教育委員会に残る一定の権限」とは、文化財の指定等の重要事項に係る権限であるということである。 「重要事項に係る業務については、地方自治法第180条の7に基づく事務委任・補助執行を行うことは想定しておりません」というのが 文化庁文化資源活用課の見解である。

 

ダウンロード - 北九州市職員措置請求書(2024年11月13日提出)


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November 04, 2024

門司港地域複合公共施設既存構造物とりこわし工事契約及び同工事監理業務委託契約の破棄を求める住民監査請求

北九州市職員措置請求書
 北九州市長(又は行政委員会、職員など)に対する措置請求の要旨

北九州市教育委員会及び北九州市長を請求の対象とし、北九州市が指名競争入札を実施し落札者と門司港地域複合公共施設既存構造物とりこわし工事契約及び同工事監理業務委託契約を結ぶという財務会計上の行為を行ったことに関して、この監査請求書を提出する。
北九州市教育委員会及び北九州市長が、文化財保護法及び北九州市の定める諸規則に違反して、埋蔵文化財の価値付けをおこなわず、また、文化財保存審議会での審議によらず、初代門司港駅遺構のとりこわしを決定し入札を実施し契約を業者と結んだこと。また、とりこわし工事監理業務委託の入札において特定の業者が落札となる談合が行われたと思料されること。さらに、複合公共施設を建設するために北九州市が購入した土地から出現した初代門司港駅遺構は、考古学や歴史学の専門家がこぞってその文化財としての価値が大なることを認めているものであり、文化財保護のルールに反した形でそれが破壊されることは、極めて不当なことであること。これらの理由でその行為が不当であるとともに違法性が高い。
損害という観点からは、市有地に発見された貴重な文化財が破壊されようとしていること、また、談合が行われた入札が承認されることによって北九州市に経済的損害が生じている可能性が高いことなどの点で北九州市に損害が生じている。

門司港地域複合公共施設既存構造物とりこわし工事契約及び同工事監理業務委託契約の破棄を求めて監査請求書を提出する。

1 請求の要旨

誰が(請求の対象となる市の職員)
北九州市教育委員会、北九州市長

いつ、どのような財務会計上の行為を行ったか、又はどのようなことを怠っているか。
指名競争入札を実施し、落札者と門司港地域複合公共施設既存構造物とりこわし工事契約及び同監理業務委託契約を結んだこと。


その行為又は怠る事実が違法、不当である理由。

(1) 文化財保護法及び北九州市の定める諸規則に違反して、埋蔵文化財の価値付けを行わず、また、文化財保存審議会での審議によらず、初代門司港駅遺構のとりこわしを決定し入札を実施し契約を業者と結んだこと。

文化財保護審議会への諮問は、教育委員会の権限である。市民文化スポーツ局(あるいは都市ブランド創造局)のおこなうのは「補助執行」であって、文化財保護の役割は、市の規定上も、合議制の執行機関である教育委員会に残っている。 門司港地域での複合公共施設の建設を担当する市長部局の判断をそれまま受けいれ、初代門司港駅遺構の保存に関して文化財保護審議会への諮問をおこなわないとしたら、教育委員会は、文化財保護法に違反し、文化財保護上の重要な権限を放棄していることになる。

文化財保護上の重要なことは、北九州市の規則上も、教育長や市長部局の専決事項ではない。 「文化財保護の重要なもの」は、「補助執行」の意味からすれば、合議制の執行機関である教育委員会での審議なしに決定されることはありえない。文化企画課(市民文化スポーツ局あるいは都市ブランド創造局)に、教育委員会や文化財保護審議会に代わって文化財保護の重要なものを決定する権限はない。


(2) 入札(とりこわし工事管理業務委託に関するもの)において特定の業者が落札となる談合が行われたと思料されること。

「入札情報公開サービスシステム(北九州市)」によって「門司港地域複合公共施設既存構造物とりこわし工事監理業務委託」の入札情報を調べると、 「予定価格」のままの金額で入札に参加する業者ばかりであり、本気で入札に参加しているとは考えられない。 しかも、1社が予定価格より少しだけ低い価格で落札し、その額が最低制限価格よりはかなり高い。「最低制限価格」の設定がまったく意味を持っていない。 また、辞退者が多いこと、「価格のばらつき」がほとんどないということなどの点で、談合があったことが推測される。

2023年10月以降にこの件を含めて13件の「監理業務委託」の指名競争入札が実施されている。 その13件で、「予定価格と同額で入札に参加」した業者は、合計40社で、そのすべてが例外なく「落札を回避」できているので、 その結果、13件の入札のすべてにおいて、それぞれ特定の1社に落札させることに成功している。


(3) 複合公共施設を建設するために北九州市が購入した土地から出現した初代門司港駅遺構は、考古学や歴史学の専門家、文化財保護の国際的機関がこぞってその文化財としての価値が大なることを認めているものであり、文化財保護のルールに反した形でそれが破壊されることは、極めて不当なことであること。

 

その結果どのような損害が北九州市に生じているか。
市有地に発見された貴重な埋蔵文化財——利用方法によっては世界的遺産となりうると専門家が認めているもの——が破壊されようとしていること。また、談合が行われた入札が承認されることによって北九州市に経済的損害が生じている可能性が高いこと。

どのような措置を請求するのか。
門司港地域複合公共施設既存構造物とりこわし工事契約及び同工事監理業務委託契約の破棄

 

 

北九州市職員措置請求書(2024年11月13日提出)

事実証明書(その2)再提出

事実証明書(その3)

補正後の住民監査請求書

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November 03, 2024

2023年10月以降の新築工事の入札

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一般競争入札の表は、指名競争入札の表よりも、行が少ない。後者には、辞退、失格が含まれている。

指名競争入札 で、「何らかの理由」で入札に参加したくない場合は、「辞退」することができる——意思表示をしなければ「失格」となる。 それ以外に、自社の落札を避けるという目的のために、「予定価格と同じ(あるいは「ほぼ同じ」)額」で入札に参加するという手段がとられているのではないか(→2023年以降の監理業務委託)。

[表1]
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[表2]
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[表3]
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[表4]
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[表5]
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[表6]
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[表7]
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[表8]
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