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April 21, 2023

市長選挙出口調査結果を対応分析で再分析

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北九州市長選挙出口調査の年代別得票率を対応分析によって再分析」というタイトルで「論文もどき」をnoteに書くことができた。自分で調査をおこなったわけではない。公表されている出口調査の結果を再分析したものである。出口調査の結果について以下のようなコメントを書いた。

1. 新市長となった武内和久候補が、60歳以上と30歳未満の年齢層で相対的にも絶対的にも得票率が低く不人気であったのはなぜなのだろうか。西日本新聞記事は、武内候補が「30~50代の働く世代の支持を集めた」という解釈をしているが、「働く世代」というとらえ方は的確だろうか。29歳以下でも、60歳以上でも多くの人が働いているわけであるから。落選した津森洋介候補が、30代の年齢層で相対的に得票率が低く不人気であったのはなぜだろうか。

2. 西日本新聞記事によると、「最も力をいれてほしい政策」としてあげられたものを年代別にみると、40・50代では「景気・経済対策」に期待する人の割合が、また、70・80代では「福祉・医療」に期待する人の割合が多かったという。しかし、どの程度の差が年代別にあったのだろうか。

3.「最も力をいれてほしい政策」を年代別に比較するだけでなく、この「期待する政策」と投票行動(どの候補に投票したか)との関連を同じようにグラフで示すことができたはずだ。また、「年齢」、「期待する政策」の2変数を同時に考慮して各候補への投票行動を分析したらどうだったのだろうか。そのような分析がなされれば、以下のような事柄を明らかにすることができたはずであり、候補者への支持に影響を与えた要因が、候補者のイメージ戦略との関連で明確になる可能性がある。

4. 武内和久候補の選挙活動での公約は、「100万都市の復活」と「稼げる街」というものであった。このそれぞれが有権者にどのように受け取られたかは、同候補の年代別得票率にどの程度の影響を与えただろうか。とくに、「福祉・医療」に期待する人の割合が多かったという「70・80代」は、主語が曖昧で意味も不明な「稼げる街」というキャッチフレーズをどう受けとめたのだろうか。このフレーズによって、もしも、例えば、高齢者が生活費の高騰を危惧することなどがあった場合、60歳以上の年齢層において同候補の得票率が低かったことがそのことで説明できる可能性があるだろう。

5. 当選した武内和久候補の場合、「追加公約」として「大胆な子育て支援、今すぐ少子化対策約12億円」というものがあった。この公約は有権者にどのように受け取られ、同候補の年代別得票率にどのように影響を与えたのだろうか。とくに、「教育・子育て」に期待する人の割合が多かったという「10~30代」に対してどの程度の影響を与えたのだろうか。

軸の解釈というのもやってみた。

補足3の「寄与率のグラフ」は、対応分析において各軸を解釈するためのものであるが、妥当な解釈をおこなうことは難しい。第1軸は、列ポイントのグラフから、当選可能性という要因と関係する認識や態度と解釈できるのではないだろうか。列ポイントのグラフで、2名の有力候補の列プロファイルが第1軸の形成に大いに寄与していることが示されていることからそのように考えられる。

有権者は、各候補者の当選可能性に対する予想に影響されずに投票する場合もあれば、そうではなく、当選可能性の高い候補者の中で選択を行う場合もある。第1軸は、この後者の場合の投票行動が反映されているのではないだろうか。

第2軸については、第1軸の解釈とは別次元のものを想像する必要がある。行ポイントのグラフも参照して考えると、当選可能性の認識に左右されずに候補者を選択するという投票行動の次元であろう。列ポイントのグラフでは、2名の有力候補以外の候補の列プロファイルが、また、行ポイントのグラフで、29歳以下の年齢層の行プロファイルが、第2軸の形成に大いに寄与していることからそのように考えられる。


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