関門海峡メガジップラインとか、ドローンタクシーとか
関門海峡 光の架け橋メガトリップエリア構築事業実施にあたっての実現可能性調査 検討結果
(国土交通省中国運輸局)
こういうのを「ミライ」というのだろうか。海峡の景観がアミューズメントパーク化されてしまう気がする。ジップラインとかは、長期的に利用される設備とは思えない。ニュースでは「アトラクション」という表現が使われている。観光客を引きつけるためのアトラクションばかり考えている都市にまともな未来はない。
山や森など自然のなかに架けられたワイヤーロープにベルトとハーネスを装着してぶら下がり、プーリーと呼ばれる滑車を使って滑り降りるアウトドアアクティビティ
(https://activityjapan.com/feature/zipline_howto/)
料金は1回2万8000円程度
(NHK 山口 NEWS WEB 2023年07月25日)
構想によると、メガジップラインは下関市の火の山公園のスタート地点からゴールとなる北九州市門司区の和布刈公園までをつなぐもので全長は1・74キロ。時速は110キロで滑走時間は90秒。料金は1人2万8000円の計画で、主に海外からの富裕層をターゲットにしている[太字は引用者]。ジップラインの設計や施工費用は15億円を試算しており、2025年春の開業を目指す。実現すれば国内最大となるという。
(関門海峡上空を一気に滑走 メガジップライン構想 実現目指し初会合 -- 毎日新聞2023年7月26日)
移動遊園地の遊具のようなものは、補助金を出すべき事業といえるだろうか。ジップラインは、それを作るだけで10数億円かかるということだ。「F/S」と書いてあるのはfeasibility studyのことだろうか。空飛ぶクルマ(あるいは、ドローンタクシー)等の実現可能性を調査するために合計8千万円以上。当てにされているのが観光庁補助金と地方創生交付金など。おそらく、事業に赤字が生じれば自治体が税金等からそれを補填することになるのであろう。
上の図に事業者として株式会社KMアドベンチャーという会社が出てくるが、グーグル・マップで調べると、法人登記されている場所(山口県下関市長府松小田本町)にはそれらしきものはない。ジップラインの設計・施工を行うのはこれとは別の事業者なのだろうか。
「関門 DMO」というの は、「関門地域で観光業に携わる事業者、行政、教育機関を中心と した会員組織『関門観光企画営業担当者会議』を母体として形成した観光地域づくり法人」ということである。この団体とジップラインを計画している事業者との関係はどういうものなのだろうか。図によって、全く関係がないということを説明しているのだろうか。
また、事業連携の矢印を使って、「観光事業者等」と「関門DMO等」との間に、「行政」だけでなく「大学」を巻き込んでいるのは、なぜか。「学生ボランティア」にワイヤーケーブルなどの保守をさせるつもりではないことは予想できるが、観光事業の連携ということだから、教員や学生による観光案内ボランティアとかは考えられていそうな気がする。
「東武Top」と書かれているのは、東武トップツアーズ株式会社のことだろうか。もしかしたら、この会社あたりがコンサルティング会社として、総括的に全事業の構想をまとめ上げているのかもしれない。
観光産業は、関門2市にとってどの程度の比重を占めているのだろうか。後で調べてみようと思う。パンデミックの時代には、観光産業はその影響を受けやすいことは想像できる。観光客が市外から大挙してやってくることを前提とした地域づくりというのは問題がある。また、カジノ誘致を狙った人々が一枚かんでいるかどうかが気がかりである。「この街の未来のために」とか言ってカジノを北九州市に誘致しようとした人たちがいたことを忘れられない。
観光業は、旅行業、交通産業、宿泊業、飲食産業、アミューズメント産業、土産品産業、旅行関連産業等幅広い分野を包含した産業であり、我が国経済に与えている影響は非常に大きい。また、地域レベルで見ても、観光業は、地域外との対流・交流を生むとともに、地域外から利益を得て地域経済を支える産業として重要である。このため、観光業についても、我が国及び地域にとっての存続基盤であると言える。
(国土交通白書 2021)
令和5年度の採択案件に含まれていない。「R5年度 将来にわたって旅行者を惹きつける地域・日本の新たなレガシー形成事業」から外れたのだろうか。
よりインバウンドに訴求する「日本を代表する魅力」になると考えられる 採択11件、再検討3件を抽出
https://wwwtb.mlit.go.jp/chugoku/content/000299270.pdf
令和4年度の採択案件には含まれていた。
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