« 役員の選出方法等からとらえた校区自治連合会・区自治総連合会・市自治会総連合会の間の関係について | Main | 町内会とその「上部」団体について書いた記事のリスト »

July 13, 2023

五十嵐敬喜「マンションは生き延びられるか?」(『世界』8月号)を読んで

Tempimageaf7mf2

五十嵐敬喜氏の「マンションは生き延びられるか?」(『世界』8月号)を読んだ。

五十嵐敬喜氏によれば、「『少子・高齢化』にともない大量に発生した所有者不明の土地、空き家などの解消」が新土地基本法の制定(2020年)を頂点にして政府によって取り組まれた後、残っているはるかに困難な課題が「マンション改革」であるという。「現在、マンションは全国に685万戸建築されており、おおよそ1500万人が居住している」のであるが、「コンクリート造りでいかにも堅牢に見えるマンションも、いずれ寿命がきて建替えが不可避となる」のだが、「このままではマンションは建替え不能で巨大産業廃棄物になる」と述べられている

正直言って、私は、民間のマンションに、「タワマン」も含めて、住みたいとは思わない。しかし、五十嵐氏の論文を読んで、日本のマンションが抱える問題について色々な興味深い事柄を知ることができた。五十嵐氏によれば、「生活という視点」から見ると、「生活とは無縁の無限大の『投資』行為を許容し、あるいは、そこで生活している人々(賃貸者等)の組合[管理組合のこと:引用者注]への加入を拒否し、その意見を無視できるマンション法」こそ「マンション危機の真の原因」であるという。

「コミュニティの欠如」による障害が、マンション内部の孤立状態とともに、災害時や日常生活でも生じる地域生活上の困難として取りあげられている。個人的には、「コミュニティ」というカタカナ言葉が出てくる文章には疑念を持つことが習慣化しているのだが、五十嵐氏は「身近な人との付き合いや助け合い、共同作業など」をコミュニティと表現している。そして、それを、マンションについては、マンション内部のそれとマンション外部の地域との関係として2つに分けている。

私が関心を持ったのは、「地方自治法が新たに設けた『地域自治区』(地方自治法202条の4、市町村の合併の特例に関する法律23条。2005年」についての紹介部分である。そこでは、マンションの自治会が「地域自治区」に加入することによって、コミュニティを充実させるだけでなく、『公的』な位置づけを得ることができる」と説明されている。マンション内部の活動等に地域住民が参加する道が開かれたり、マンションの老朽化や建替えについて地域住民の協力が得られるようになるということなどの効果が述べられている。

この部分を読んで、自分が住んでいる校区では、校区自治連合会にマンション自治会が複数加入していることを思い起こした。しかし、マンション自治会の関係者が、校区自治連合会とは別の、北九州市が設置を促進した「まちづくり協議会」の構成員として実際に活動しているかどうかは知らない。まちづくり協議会規約によれば、第4条「構成」の2番目に「町内自治会長」があるので総会等への参加資格は、マンション自治会の会長にはあるはずだ。

しかし、意外なことに、まちづくり協議会の総会は、「役員の過半数の出席で成立する」(第12条)となっているので、参加資格がないことになる。役員とは会長、副会長、事務局員、会計、会計監査と規定されている(第5条)。なお、「市民センターだより」(2023年6月1日付)によれば、新たに相談役のポストが設けられ前会長が就任したことが確認されるが、規約改正と役員選出が、「会員」ではなく「役員」の過半数の出席で成立する「総会」で議決されうる規定になっていることが不可解である(➔https://ab.cocolog-nifty.com/blog/2023/06/post-ee42b7.html)。

Screenshot-20230713-at-160229
(志井校区まちづくり協議会規約)

Screenshot-20230713-at-163846
(志井校区まちづくり協議会規約)


(市民センターだより)

「地域自治区」制度は、五十嵐氏によれば「学校区などを基礎単位として事務所を置く。その長として自治体職員が着任し、そのもとには『地域協議会』が置かれる」というもののようだ。自治体職員が地域自治区事務所の長となるというところが、北九州市の校区単位のまちづくり協議会と少し違うのかもしれない。

五十嵐氏は、この制度のプラス面とマイナス面とに言及し、「どちらに転ぶかは使い方次第であろう」と述べている。法律によれば、地域協議会の構成員は、「区域内に住所を有する者のうちから、市町村長が選任する」となっている。「報酬を支給しないこととすることができる」となっているので無報酬であろう。

Screenshot-20230713-at-132841
(地方自治法202条の4)

|

« 役員の選出方法等からとらえた校区自治連合会・区自治総連合会・市自治会総連合会の間の関係について | Main | 町内会とその「上部」団体について書いた記事のリスト »

Society」カテゴリの記事

Politics」カテゴリの記事