10人のアドバイザーが東京で意見交換をしたという。
10人のアドバイザーが東京で北九州市の未来について意見交換をし、そのうちの1人の“企業経営者の鎌田恭幸さんは「市だけでなく広域的な地域の発展を目指す視点が必要で、……」と語った。”
(北九州市発展へアドバイザー10人が意見交換 建築家の隈研吾氏らが持論語る — 西日本新聞 2023/7/14)
鎌田氏は投資信託会社の代表取締役社長のようだが、まともな「持論」だ。市の人口(夜間人口)が増えればそれでいいというのではおかしい。周辺の市町村から定常的移動(通勤や通学)で北九州市に毎日やってくる人たちのことも視野に入れるべきだし、周辺の市町村との関係で北九州市の人口の変化(社会増減)も把握されるべきだ。
隈研吾氏は、有名な建築家だが、一般的に有名な建築家は外見を重視しすぎるのではないか。外形的デザインは、しばしば、利用者の使いやすさを犠牲にすることで成り立っている。下関市の「川棚の杜」も、群馬県の富岡市役所庁舎も。西日本新聞記事では、「建築家の隈研吾氏らが持論語る」と10人のアドバイザーの代表的存在のように紹介されていているが、隈研吾氏によって語られた持論がどのようなものであったかはわからない。
隈研吾氏の考えは、以下の引用から知ることができるかもしれない。建築家は「自由な表層」や「強さ」にこだわらなければならないということのようだ。「世の中の人々が注目しているイッシューを全部のみこんだうえで」という発想には感心するのだが、「ブランド」を意識しすぎているのではないだろうか。
八〇年代のポストモダンの時代に、本当の意味での自由な表層は可能だと宣言したわけですが、八〇年代の表層は自由であることに価値があったわけだけれども、今は自由であること自身には何も価値がない。自由さのうえで達成したあるキャラクターを持ったヴィサージュが作れているかどうかを資本が僕らに問うている。八〇年代のレヴェルは今から見るとナイーヴなレヴェルにあったわけで、表層が自由に、グラフィカルにできた、ということ自身に価値があった。今は自由の上に達成したものの強さが求められていて、その強さを出すためには、実は表層だけではなく、その構造とどう絡ませるとか、サステイナビリティといった環境の議論をどう絡ませるかとか、世の中の人々が注目しているイッシューを全部のみこんだうえで、丁寧に織り上げた織物みたいにして表層を出してこないと、それがひとつの強さをもってアピールしないという状況が来ている。
(景観の現在──グローバリゼーションのなかでの変容 | 隈研吾+今村創平 聞き手)
西日本新聞記事によれば、10人の「持論」が披露されたらしい。しかし、それらをアレンジすれば「ミライ」への「ヴィジョン」が出てくるだろうか。東京で各界1人の有名人の話を聞くよりも、私の予想だが、市役所各部門の第一線の職員の現状分析から学ぶことの方が有効であるように思う。
「ミライ」のために市役所があるわけではない。
(➔「ミライ」よりも都市の最適規模を考えよう。➔テクノロジーは都市の未来を取り戻すために)
「工業都市や環境に優しいまち、医療施設の充実、地価の安さといった市の特徴を生かしたまちづくりのイメージや施策を武内和久市長に示した」ということだが、詳しい内容を知りたい。会議録等は公表されるのだろうか。Twitterで私がフォローしている辻野晃一郎氏がどのような意見を述べたかに関心がある。説得力のあるtweetをいつも読んでいる。
関連記事:
北九州市政へ隈研吾氏や鎌田実氏が助言 「アドバイザリーボード」に任命へ — 西日本新聞 2023/5/26
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