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December 06, 2024

文化財保護のルールに関してまったく言及しない市議会議員が北九州市監査委員の1人である。

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議会中継

法令や北九州市の規則を無視していることはどうでもいいと考えているのだろうか。 北九州市監査委員でもある奥村直樹議員(ハートフル北九州)の議会での発言を聞いて失望した。北九州市が門司港地域複合公共施設整備事業を進めようとして、埋蔵文化財の価値付けをおこなわず、また、文化財保護審議会による調査と審議によらず、強引に初代門司港駅遺構の取り壊しを始めていることが文化財保護のルールに違反していることをなぜ指摘しないのだろうか。別の場所での代替案などに言及するよりも、まず、取り壊し工事を止めることが先決ではないかと考える。監査結果が出るときまで公開でメッセージを送りたいと思う。

 


どうやら、市当局が使う「補助執行」という言葉は、補助執行する機関への実質的な権限の移行を意味しているようだ。「補助執行される」側は、「報告を受ける」だけで、重要事項についても、審議事項として扱うことを放棄している。
補助執行という言葉が市議会でどのように使われたか。
https://note.com/mbrmghm/n/nf4e5a1e1f259

 


「価値の評価は(都市ブランド創造局が)適切に行っている」→とりこわし可
「(文化財保護審議会の調査・審議、答申がなされなくても)文化財保護法に基づき県に届け出て適法に執行している」→とりこわすと県に届け出れば適法
西日本新聞2024年11月28日の記事で紹介されている北九州市の主張。
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“市側は規則や規程を例示し「(市の対応は)適正、適法かつ妥当」と強調し、「同審議会への諮問は(市長部局の)都市ブランド創造局長の専決事項となっている。市教委の判断は制度上必要ない」と反論した。”
— 門司鉄道遺構「諮問」求め北九州市文化財保護審議会委員ら異例の陳情 (西日本新聞2024年5月24日)

「文化財保護審議会会への諮問は都市ブランド創造局長の専決事項」という北九州市当局の主張。
これは、明確に、北九州市教育委員会事務専決規程と同文化財保護審議会規則(第2条及び第9条)に反するもの。 

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文化財保護に関する教育委員会の権限放棄

文化財保護審議会への諮問は、教育委員会の権限である。市民スポーツ局(あるいは都市ブランド創造局)のおこなうのは「補助執行」であって、文化財保護の役割は、市の規定上も、合議制の執行機関である教育委員会に残っている。 門司港地域での複合公共施設の建設を担当する市長部局の判断をそのまま受けいれ、初代門司港遺構の保存に関して文化財保護審議会への諮問をおこなわないとしたら、教育委員会は、文化財保護法に違反し、文化財保護上の重要な権限を放棄していることになる。


市長(部局)の行為の不当性

文化財保護上の重要なことは、北九州市の規則上も、教育長や市長部局の専決事項ではない。 「文化財保護の重要なもの」は、「補助執行」の意味からすれば、合議制の執行機関である教育委員会での審議なしに決定されることはありえない。文化企画課(市民スポーツ局あるいは都市ブランド創造局)に、教育委員会や文化財保護審議会に代わって文化財保護の重要なものを決定する権限はない。

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付属機関の設置に関する条例 昭和38年10月17日 条例第97号

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市側の説明についてのメモ

 


住民訴訟の提起

「監査委員の監査の結果等に不服がある場合には、監査請求をした住民は、住民訴訟を提起することができる。」
「(住民)訴訟の対象は財務会計行政領域に限定されているが、地方公共団体の行政活動の多くは最終的には何らかの財務会計行政の形をとって行われるので、財務会計行為の前提となる先行行為の違法性を財務会計上の違法と構成できれば、住民訴訟によって広く違法行政の是正を図ることができる。」
「住民訴訟4号請求は、長や職員の個人責任を追及するものであり、ときに損害賠償額が巨額に及ぶこともある」
「その額は、… 副知事や教育委員会の委員は(年収の)4倍」
— 曽和俊文・山田洋・亘理格『現代行政法入門』(有斐閣、2023年)

「学説も、財務会計法規を広く捉える考え方が有力であり、事務の誠実な管理執行義務もこれに含まれるという考え方もある。」(「住民訴訟における違法性の承継」問題に関して)
— 大久保規子「財務会計行為と先行行為」(『地方自治判例百選』、有斐閣)

住民監査請求をおこなう会

 


暫定的な停止勧告制度

監査委員は、以下の要件を全て満たす場合、理由を付して勧告等の手続が終了するまでの間当該行為を停止すべきことを勧告することができる(法第242条第3項)。
住民監査請求・住民訴訟制度について(総務省)

  • 当該行為が違法であると思料するに足りる相当な理由があると認めるとき
  • 当該行為により当該団体に生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があると認めるとき
  • 当該行為を停止することによって人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがないと認めるとき

当該行為を停止することによって人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがないと認めるとき」
1番目及び2番目の条件だけでなく、これも該当するのではないか?
監査委員4名は、この「できる」ことをやらなければ、歴史的に貴重な埋蔵文化財の破壊に手を貸したことになる。
あとから、北九州市の文化財保護行政について改善すべき事項などを書くつもりなのだろうか?
追記:2024年12月26日付で、監査委員は、文化財保護のルールについても、談合の疑いについても、請求者が指摘するところに具体的に反論することなく、市側の主張をなぞっただけで結論を出した。4名の「合議」によって。

 

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