図書館で借りた1冊の本のタイトルは「芸術とはどういうものか」。

三浦つとむという名前には、10代の最後ごろに出会ったはずだ。その著者が書いた新書版の本を2冊か3冊買ったことがあると記憶している。当時は、その文体や「哲学的」な論理になじめなかったように思う——今でも「弁証法」という言葉が出てくると途端に理解不能になってしまう。その1つがハードカバーで図書館の棚にあったので、借り出してみた。「あとがき」を亀井秀雄という国文学者が書いていた。いま、それを読んでみたところである。
亀井氏は2016年に亡くなっていることをWikipediaの記述から知ったが、氏のエッセイが公開されていることがわかった。
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この世の眺め:亀井秀雄のアングル
「在野の理論家」であった三浦つとむ氏が亡くなったのは、1989年10月27日であると、借りてきた本の最後の著者紹介のところに書いてあった。
目を通してみての感想だが、亀井氏が三浦氏を「日本で最初の自立したマルクス学者」と評しているように、教条主義や権威主義に陥ることを拒否した理論家だったのだろうと思う。芸術についてなされてきた議論の理解を助けてくれる説明がある。しかし、「未来の(理想)社会でもけっして芸術は消滅しないばかりか、現在よりもっとさかんになるものと考えてよい」という文などに接すると、予見できないはずのことを予見しようとしているという印象を受ける。おそらく、芸術論も言語論も、三浦氏が依拠した「マルクス学」や「唯物論」、「弁証法」などの枠組みを超えたところで展開されるべきなのだろう。
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