グレアム・グリーン『国境の向こう側』(ハヤカワepi文庫、2013年)を読みおえた。
「移りゆく世界と人々の心情に向けられたイギリスの巨匠の冷静な視線を味わえる傑作短編集」とカバーに書いてある。
「モランとの夜」は、情事とかではなく、グレアム・グリーンが少年時代に読みふけったというピエール・モランという作家との偶然の出会いのことであった。G・K・チェスタトンも、小説の中で出てきた。コルマールというフランスの町の近くの村で教会の司祭が「モランを読むなど時間の無駄だ」と答えたという記述のあとに、「チェスタトンを読んだほうがマシだっただろうね」とその司祭が小説の主人公である作者グレアム・グリーンに話したことになっている。
ポール・モランという作家は実在したようなのだが、……
「モランとの夜」のなかで主人公は、「モランの方法」を次のように説明している。
モランの方法では作中に作者が現れることは許されない。皮肉の素振りを見せることさえ欺瞞にあたる。
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