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August 14, 2025

安全保障のジレンマと市民の役割

「北朝鮮が突然、日本を攻撃してくる可能性は低い」

こう聞くと、少しホッとする人もいるかもしれません。確かに、何の前触れもなく、いきなりミサイルが飛んでくるようなシナリオは考えにくい。しかし、だからといって「日本は安全だ」と断言できるわけではありません。日本の安全保障を考える上で、より現実的なリスクと向き合う必要があります。

中国の動向と日本のリスク:台湾有事という現実的なシナリオ

私たちが特に注視すべきは、中国の動向です。北朝鮮と同様、中国も「日本を単独で攻撃する」というシナリオは非現実的と言えるでしょう。しかし、台湾海峡での有事、すなわち中国と台湾の間で軍事的衝突が起きた場合、状況は一変します。

アメリカは、台湾の安全保障に関与する姿勢を明確にしています。もし中国が台湾に武力侵攻した場合、アメリカは軍事的に介入する可能性が極めて高い。その際、在日米軍基地は、当然のことながら、その作戦遂行の拠点となります。

2022年4月には、アメリカの当時のインド太平洋軍司令官が、台湾有事の際に在日米軍基地が攻撃対象となる可能性に言及しています。これは単なる憶測ではなく、アメリカの軍事戦略を考える上で、現実的なリスクとして認識されているということです。


米軍基地と原子力発電所が抱える危険性

在日米軍基地が存在する市町村は、軍事的な攻撃目標となるリスクを抱えます。沖縄、神奈川、青森、山口など、日本には多くの米軍基地が存在します。これらの基地が攻撃されれば、軍事施設そのものを守ることはできても、周辺に住む地域住民の生命や財産に甚大な被害が生じることは避けられません。

さらに深刻な問題は、原子力発電所の存在です。

日本には、多くの原発が稼働中、あるいは再稼働に向けて準備を進めています。これらの原発は、地震や津波への対策は講じられていますが、ミサイル攻撃のような軍事的な攻撃を想定した設計にはなっていません。2020年以降の国際情勢を見ると、ウクライナのザポリージャ原発が攻撃対象となり、世界がその危険性を認識しました。

国際的な専門家の中には、ミサイル攻撃から原発を防護することは極めて困難である、という見方が支配的です。もし原発が攻撃されれば、チェルノブイリや福島第一原発の事故をはるかに上回る、壊滅的な被害が日本全体に及ぶことになります。


安全保障のジレンマと市民の役割

このようなリスクを前にすると、「防衛力を強化して、ミサイルから身を守るべきだ」という意見が強まります。しかし、ここに安全保障のジレンマが潜んでいます。

自国を守るために軍備を増強すれば、他国はそれを脅威とみなし、対抗して軍備を増強します。この連鎖が、最終的には軍拡競争をエスカレートさせ、かえって地域の不安定性を高める結果につながるのです。

日本政府は2022年、防衛費を大幅に増やす方針を打ち出しました。この軍拡は、確かに「抑止力」を高めるという側面があるかもしれません。しかし同時に、周辺国にさらなる警戒心を抱かせ、軍拡競争を加速させるという負の側面も持っています。そして、その矛先は、私たちの住む日本列島に向けられる可能性も否定できません。


私たちが求めるべきは、軍拡ではない未来

このジレンマから抜け出すために、私たち市民ができることは何でしょうか。

政府や専門家による安全保障議論は重要ですが、それだけでは不十分です。軍備増強が本当に私たちを守る唯一の道なのか、という問いを立て、積極的に議論していく必要があります。軍事力に頼らない外交努力や、紛争の根本原因を解決するための国際協力など、多様な選択肢を市民社会が提示していくことが重要です。

2023年に発表された世論調査では、防衛費増額に賛成する声がある一方で、「増税以外の財源でまかなうべき」「社会保障や教育を削るべきではない」という意見も多く、国民の間には複雑な思いがあることが示されています。

この複雑な思いは、「平和を望む」という強い意志の裏返しです。軍拡競争が地域に不安定性をもたらすという事実を直視し、軍備に頼らない平和構築の方法を模索する市民の活動が、これからますます重要になってくるでしょう。

真の安全保障とは、軍事力だけで築けるものではありません。地域の緊張を高めるのではなく、信頼関係を築き、対話を通じて問題を解決していくための市民の声を上げること。それが、私たち一人ひとりが担うべき、最も重要な役割なのです。

台湾海峡での軍事的衝突に米国が介入した場合に、それに関与する米軍基地がある日本が中国に攻撃される可能性がある。日本列島は米国本土よりも危険な場所となる。

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(NotebookLMを利用した。)

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