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November 20, 2025

政党得票率とCOR(候補者超過達成比率)の関係

 


本レポートは、自由民主党(自民党)と公明党の連立与党における選挙力学を深く理解するため、「政党の比例代表得票率」と、独自に定義された「候補者超過達成比率(COR)」の関係性に着目して比較分析を行ったものです。以下に、その内容を要約します。

1. 分析のフレームワーク:COR(候補者超過達成比率)の定義

この分析の中心指標である候補者超過達成比率(COR)は、候補者個人の集票力を政党の基礎的な支持基盤から切り離して評価するためのツールです。

* 算出方法:(候補者の市区町村での得票数) / (所属政党の同一市区町村での比例代表得票数)。
* 意義:CORは、候補者個人の得票力が、政党の基礎的な支持基盤(比例代表票)に対してどれだけの付加価値を生み出しているかを示します。
* 1.0超の意味:CORが1.0を上回る場合、候補者が所属政党の基礎票を超える票を獲得している、「個人票のプレミアム」が存在することを示します。

分析では、政党得票率(政党基盤の強さ)を横軸に、COR(候補者の個人票の強さ)を縦軸に置く4象限分析モデルが用いられています。

2. 自民党と公明党のCORプロファイルの比較

参院選2025年の福岡の状況を調べると、自民党と公明党のケースは互いに重なることなく、ほとんど別の状況にあることが判明しています。両党は対照的な特徴を示しており、異なる強みに依存して選挙を戦っています。

* 自由民主党のプロファイル:自民党は相対的に高い政党支持率を誇りますが、CORは公明党よりも低い傾向にあります。4象限モデルでは「高政党得票率 / 相対的に低いCOR」の象限に偏る傾向が見られ、強力な政党基盤に支えられているものの、個人票のプレミアム獲得が相対的に少ないことを意味します。
* 公明党のプロファイル:政党支持率自体は自民党よりも低いですが、候補者超過達成比率(COR)は公明党の方が高い傾向にあります。公明党は「相対的に低い政党得票率 / 高いCOR」の特性を示しており、擁立する候補者が党の基礎票を大幅に上回る票を獲得する、極めて高い集票効率を持つことが示唆されます。

3. 支持基盤の非競合性と選挙協力の影響

政党得票率の相関関係

地域別の両党の政党得票率を調べると、選挙協力をおこなっているはずの両党の政党得票率はほとんど相関が見られません。これは、両党が「相互に競合することがない世界に存在している」かのようであり、長年の選挙協力の結果として、互いの支持基盤が重複しないように棲み分けが成立していることを裏付けています。一部の郡部で「逸脱事例」的なケースを除けば、「無相関」という結論が強固になります。

選挙協力とCORの分析的パラドックス

自公の選挙協力の基本構造は、「選挙区での公明票の自民への集中」と「比例代表での自民票の公明への集中」という相互扶助の関係です。

* 自民党への影響:選挙区で公明党の組織票が自民党候補に投じられると、候補者の得票数が増加し、自民党候補のCORは押し上げられる効果が働きます。
* 公明党への影響とパラドックス:選挙協力によって自民党支持層が比例代表で公明党に投票した場合、理論上、公明党の比例代表得票数(分母)が増加するため、公明党候補のCORは**押し下がる効果**を持つはずです。
* 観測結果:しかし、実際に観測されたデータでは、公明党のCORは自民党候補のCORよりも高くなっています。この分析的パラドックスは、自民党支持者が比例で公明党に投票する行動が想定より限定的であるか、あるいはそれを凌駕するほど公明党候補者個人の集票力が極めて強力である可能性を示しています。

4. 連立解消の背景と結論

「自民党は徐々に公明党を軽んじるようになり、比例で票を流さなくなった」という解釈があり、公明党にとってメリットの乏しい連立が崩壊するのは当然の流れだとする見解もあります。連立解消の影響を強く受けるのは、公明党ではなく自民党であることが予想されています。

結論として、本分析は、自民党と公明党の選挙戦略的同盟が、高い「政党レベルの支持」を持つ自民党と、極めて高い「候補者レベルの超過達成(COR)」を持つ公明党という、統計的にも明確に区別される特異で補完的な政治的実体を形成してきたことを示しています。これは、互いに競争するのではなく、相互に補完し合うことで機能する、高度に設計された政治的メカニズムであると結論付けられています。

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