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December 03, 2025

対応分析(参院選2025年福岡)の分析資料及びメモ(その1)

2025年参議院選挙の福岡選挙区における選挙結果の定量的な分析を扱っています。具体的には、対応分析という統計手法を用いて、選挙区内の72の地域と13名の候補者の得票数との関係を詳細に調べています。分析結果は、第1軸が全体の変動の約51%を、第2軸が約24%を占めることがわかりました。

候補者名 略号
かわもと健一(国民民主党) KWM
しもの六太(公明党) SHM
とみなが正博(日本誠真会) TMN
なす敬子(社会民主党) NAS
中田ゆうこ(参政党) NKD
伊藤博文(日本維新の会) ITO
古川あおい(チームみらい) FRK
山口ゆうと(日本共産党) YMG
村上成俊(NHK党) MRK
松山まさじ(自由民主党) MTS
森けんたろう(日本保守党) MOR
沖園リエ(れいわ新選組) OKS
野田くによし(立憲民主党) NOD

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『対応分析入門:原理から応用まで』(Sten-Erik Clausen著、藤本一男氏の訳・解説、オーム社、2015年)の94-100ページを参照。

 

福岡県内72市区町村のリスト

 [1] "門司区"   "小倉北区" "小倉南区" "若松区"   "八幡東区" "八幡西区"
 [7] "戸畑区"   "東区"     "博多区"   "中央区"   "南区"     "城南区"  
[13] "早良区"   "西区"     "大牟田市" "久留米市" "直方市"   "飯塚市"  
[19] "田川市"   "柳川市"   "八女市"   "筑後市"   "大川市"   "行橋市"  
[25] "豊前市"   "中間市"   "小郡市"   "筑紫野市" "春日市"   "大野城市"
[31] "宗像市"   "太宰府市" "古賀市"   "福津市"   "うきは市" "宮若市"  
[37] "嘉麻市"   "朝倉市"   "みやま市" "糸島市"   "那珂川市" "宇美町"  
[43] "篠栗町"   "志免町"   "須恵町"   "新宮町"   "久山町"   "粕屋町"  
[49] "芦屋町"   "水巻町"   "岡垣町"   "遠賀町"   "小竹町"   "鞍手町"  
[55] "桂川町"   "筑前町"   "東峰村"   "大刀洗町" "大木町"   "広川町"
[61] "香春町"   "添田町"   "糸田町"   "川崎町"   "大任町"   "赤村" 
[67] "福智町"   "苅田町"   "みやこ町" "吉富町"   "上毛町"   "築上町"  

古川あおい(チームみらい)、かわもと健一(国民民主党)、森けんたろう(日本保守党)などの候補者得票率が軸の右側に位置づけられる第1軸で、全体の変動の約51%を反映している。このような候補に惹き付けられる有権者がもっとも多いのは、グラフからわかるように、博多区と中央区のようだ。 (次の表でctrは、「軸への寄与」、cos2_Dim1は、「軸の寄与」、cos2_cumは「累積寄与率」をそれぞれ意味する。)

第1軸に関して、「軸への寄与(ctr)」が高い順に候補者をあげたものが次の表である。

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上記の表では「数字:市町村番号、NKD_Percent:中田候補の相対得票率、Dim1:第1軸座標、cos2_cum:累積寄与率」となっている。

第1軸では、古川あおい(チームみらい)、かわもと健一(国民民主党)、森けんたろう(日本保守党)と比較すれば目立つ存在ではなかったが、意外なことに、博多区も中央区も、中田ゆうこ(参政党)の得票率がもっとも高い。なお、対照的に、第1軸の左側に位置する添田町と川崎町は、前者では、松山まさじ(自由民主党)、後者では、しもの六太(公明党)の得票率が高い。1位ではないが、中田ゆうこ(参政党)の得票率が、添田町では4位、川崎町では3位であることがわかる。さらに例を挙げれば、東峰村では、1位は松山まさじ(自由民主党)であるが、2位が中田ゆうこ(参政党)である。

 


データの出所等について

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72地域×13候補の絶対得票数のクロス表を、そのまま対応分析にかけている。得票率は説明用グラフにのみ使用している

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対応分析をおこなうために用意したCSVファイル。行番号は分析における「地域番号」と一致し、列名は候補者の略号である。
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考察

【定量分析の主要結果】

本分析で抽出された第1軸(Dim1)第2軸(Dim2)の定量的な結果は以下の通りである。

1. 軸の説明力(固有値)

対応分析の結果、全変動に対する各次元の寄与率は以下の通りであった。

  • 第1軸 (Dim1): 固有値は 0.0177 であり、全変動の 50.59% を説明する。この軸が投票パターンの最大の構造的差異を捉えている。

  • 第2軸 (Dim2): 固有値は 0.0083 であり、全変動の 23.74% を説明する。

2. 第1軸(Dim1)への候補者の寄与 (ctr)

投票行動の構造を示す第1軸(Dim1)の形成に最も貢献度の高かった候補者(行の寄与率: ctr)は、軸の両極に位置する以下の候補者群である。

候補者(略称) 軸への寄与度 (ctr) 軸上の位置
KWM (かわもと健一) 29.91% 正の極(右側)
SHM (しもの六太) 17.76% 負の極(左側)
NOD (野田くによし) 11.99% 負の極(左側)
FRK (古川あおい) 11.03% 正の極(右側)
MTS (松山まさじ) 10.58% 負の極(左側)
MOR (森けんたろう) 7.60% 正の極(右側)

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2. 第1軸(Dim1)への地域の寄与 (ctr)

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地域番号10:福岡市中央区、地域番号9:福岡市博多区、地域番号11:福岡市南区、地域番号8:福岡市東区、地域番号15:大牟田市、 地域番号20:柳川市、地域番号37:嘉麻市、地域番号21:八女市

2. 第1軸(Dim1)と地域の投票総数

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地域番号8:福岡市東区、地域番号16:久留米市、地域番号11:福岡市南区、地域番号13:福岡市早良区、地域番号9:福岡市博多区

3. 中田候補(NKD)の特異な位置と信頼性

参政党の中田候補(NKD)は、第1軸の座標が 0.079 と正の側に位置し、軸への寄与度(ctr: 5.79%)は中間的である。

特筆すべきは、Dim1の説明力(cos2: 0.679)が非常に高い点であり、この軸におけるNKD候補の位置が統計的に信頼できることを意味する。これは、NKD候補の支持層が特定の都市部(中央区、博多区)だけでなく、広範囲な地域で一定の構造的傾向を持って浸透しているという解釈(都市部・非都市部を跨ぐ浸透)を定量的に裏付けている。

NKD候補の地域別相対得票率の上位地域を見ると、福岡市内の中央区(地域番号9: 20.64%)、東区(地域番号10: 18.45%)、博多区(地域番号8: 18.14%)といった都市部の中心地が含まれている。これらの地域は、 Dim1の正の極(右側)に位置するFRK、KWM、MORといった無所属・新しい勢力の候補者群の支持が厚い地域と傾向を共有している。

しかし同時に、得票率上位には須恵町(地域番号45)、粕屋町(地域番号 48)や新宮町(地域番号46)といった都市近郊や非都市部の地域も混在している。これらの地域は、伝統的に既存政党への支持が強い地域や、地域性が高いと見なされがちな地域である。

第1軸と第2軸の解釈について

2025年参議院選挙福岡選挙区の結果を72の地域と13名の候補者の得票数で対応分析した結果、投票パターンを規定する主要な2つの構造的軸が抽出されました。

1. 第1軸:人口規模(都市度)が規定する構造的差異

第1軸(Dim 1)は、全変動の 50.59% を説明する最大の構造的差異です

  • 正の極(都市的投票): この軸の形成に最も貢献したのは、かわもと健一(KWM、寄与度 29.91%) 古川あおい(FRK、寄与度 11.03%)森けんたろう(MOR、寄与度 7.60%) などの無所属・新しい勢力の候補者群です

  • これらの候補者に支持が厚い地域は、福岡市中心部の博多区中央区(地域番号9)など、都市的な地域です

  • 負の極(非都市的投票): 対照的に、しもの六太(SHM、寄与度 17.76%)野田くによし(NOD、寄与度 11.99%)松山まさじ(MTS、寄与度 10.58%)などの伝統的な主要政党の候補者群が位置しています 10

この軸は、「大都市中心部の有権者」と「それ以外の地域の有権者」の投票パターンの構造的な分離を捉えていると解釈されます。

2. 第2軸:支持基盤の「質」のコントラスト

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第2軸(Dim 2)は、全変動の 23.74% を説明し 、第1軸の人口規模とは独立した構造を捉えています。 「基礎票のかたさ」か「浮動票も含んだ幅広い集票」かという側面が現れるいると推測することができます。

  • 正の極(上側)には、SHM(公明党)YMG(共産党)など、組織票や政治理念に基づく支持基盤を持つ候補者が位置します。これは、人口規模に依存しない、組織的な支持層の相対的な強さを表しています。

  • 負の極(下側)には、MTS(自民党)NOD(立憲民主党)など、浮動票を集めることができる地域社会の「主流」派政党の候補者が位置します

3. 中田候補(NKD)の特異な浸透

中田ゆうこ(NKD、参政党)候補は、第1軸の正の側に位置しつつ、その第1軸の説明力(cos2: 0.679)が非常に高いという点で特異です。これは、NKD候補の支持層が、都市部の中心地(中央区で20.64%、博多区で18.14%)だけでなく都市近郊や非都市部の地域にも一定の構造的傾向を持って広範囲に浸透している 、新しい支持構造を示唆しています。



【解説】福岡参院選データが示した“3つの異変”:市部も郡部も揺らす、新たな政治潮流とは(ブログ版)
福岡の選挙データから明らかになる3つの意外な事象(note版)
2025年参議院選挙 福岡選挙区における投票行動の構造分析レポート(note版)
【参院選2025福岡選挙区】「指定席」こじ開けた参政 上位5人の結果分析(西日本新聞、2025年7月22日)

 


地域、政党、候補者のデータを用いた対応分析

対応分析(参院選2025年福岡)の分析資料及びメモ(その2)

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★データで探る福岡の選挙動向:メモの整理

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