b. 社会

April 15, 2025

市場原理主義の「小さな政府」路線では、国民の生活を守ることはできない。

お米や野菜の値段のことと、トランプ関税の影響のこととは区別して対策を考えないと議論が混乱する。
消費税をめぐる無責任な「減税ポピュリズム」の流れに警戒すべき。
市場原理主義の「小さな政府」路線では、国民の生活を守ることはできない。

食料品価格の高騰とトランプ関税の影響は、国民生活に直接的な影響を与える喫緊の課題であり、それぞれ性質の異なる対策を講じる必要があります。米や野菜の価格変動は、気候変動、生産コスト、国内需給といった要因に左右されやすく、安定供給と価格維持のための国内農業政策や流通改善が求められます。一方、トランプ関税は、国際的な貿易摩擦に起因するものであり、国内産業への影響を緩和するための外交交渉や代替市場の開拓といった国際的な視点からの対策が不可欠です。これらを混同した議論は、問題の本質を見誤らせ、効果的な対策を遅らせる要因となりかねません。

足元では、消費税減税を安易に訴える「減税ポピュリズム」の潮流が見られますが、これには強い警戒が必要です。消費税は、社会保障制度を支える重要な財源であり、安易な減税は、将来世代への負担増、医療や年金といった国民生活の根幹を揺るがす可能性があります。一時的な感情論や人気取りの政策に流されることなく、中長期的な財政の健全性を維持し、持続可能な社会保障制度を構築していく責任ある議論が求められます。

また、市場原理主義に基づく極端な「小さな政府」路線は、国民の生活を守る上で限界があります。社会インフラの整備、教育や医療の充実、セーフティネットの強化といった公共サービスの提供は、国民が安心して生活を送るための基盤です。市場の効率性だけに依存するのではなく、政府が適切な役割を果たし、格差の是正や社会的弱者の保護に積極的に取り組むことで、真に豊かで安定した社会を実現できると考えます。

したがって、個別の経済課題にはそれぞれの特性に応じた対策を講じると同時に、短絡的なポピュリズムや過度な市場原理主義に陥ることなく、国民生活を守るための現実的かつ持続可能な政策を推進していくべきです。

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April 13, 2025

厚生労働省のウェブサイトに「旧ソ連及びモンゴル抑留中死亡者名簿」というのがあった。

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あれっ、と思った。自分と同じ姓名の人が名簿に載っていた。

私の父は、シベリアに抑留になったが、敗戦後しばらくして日本に生還することができ、結婚し私や私のきょうだいが生まれた。私が生まれたとき父の年齢は33歳であった。父は、抑留された町の名前を「チェレンホーボー」と発音していた。バイカル湖の西の方まで捕虜として連れていかれたわけだ。父の名前が「抑留中死亡者名簿」にもし載っていたら、今の私は存在していない。私と同姓同名の人と同じように。私の父は2003年に肺気腫で亡くなった。

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April 11, 2025

パーソナル質問とインパーソナル質問の区別

質問のワーディングによって回答が変わってくる。つまり、別のことを尋ねているということになる。

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安田三郎・原純輔『社会調査ハンドブック 第3版』(有斐閣双書、1982年)

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「『世論』の差」(朝日新聞1994年12月1日の「窓」欄)

「あなたは夫と妻がそれぞれ結婚前の名字を名乗る夫婦がいてもいいと思いますか」という質問は、選択的別姓制度の導入について尋ねるものであり、自分がどうしたいかというパーソナル質問ではない。つまり、本人の選好や選択を尋ねる質問ではない。「選択的」制度の導入が議論されているとしたら、パーソナル質問だけでなく、このようなワーディングのインパーソナル質問を尋ねることも必要なことだと思う。

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March 28, 2025

北九州市:人口動態と社会経済分析(NotebookLM作成のイメージマップ)

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「ソース」として投入したのはこのブログ(moteki-yutaka.net)の記事。自分が書いた記事がもとになっているので内容の確認がやりやすい。

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March 20, 2025

われわれは、XODUS(Xからの脱出)できるのだろうか。

マスクはツイッターを私物化し、息子と同じ名であるエックスに変えた。結果、アメリカではユーザーが離れ、ニュースのための重要なSNSの地位を失った。
 ツイッター廃人という俗語があるほど中毒者が続出した日本。われわれは、#XODUS(Xからの脱出)できるのだろうか。それとも、青い鳥が逃げた籠にとどまり続けるのか。

https://book.asahi.com/article/15558686
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March 19, 2025

スーパーアプリとインプレッション

「イーロン・マスクはXをスーパーアプリにする構想をもっており、さまざまな機能を追加し続けている。」
— 高橋暁子「IT・SNS」『現代用語の基礎知識2025』(自由国民社、2025年1月発行)

「X上でインプレ稼ぎを目的としたデマ投稿が増えた。インプレ数を多く得るために、注目されている投稿をコピーしたり、無意味な返信をしたりするアカウントはインプレゾンビと呼ばれる。情報の質よりも人々の関心や注目を集めたほうが経済的利益が大きいアテンション・エコノミーの負の側面とされる。」
— 高橋暁子「IT・SNS」『現代用語の基礎知識2025』(自由国民社、2025年1月発行)

イーロンのもくろみを成功させてはならない。

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Blueskyとは何か?

Bluesky is a social app that is designed to not be controlled by a single company. We're creating a version of social media where it's built by many people, and it still comes together as a cohesive, easy-to-use experience. We've done this by building Bluesky on the AT Protocol, an open source toolbox for building social apps that can all talk to each other.
We want modern social media and public conversation online to work more like the early days of the web, where anyone could put up a blog or use RSS to subscribe to several blogs. We believe this will unlock a new era of experimentation and innovation in social media. Researchers and communities will have the ability to jump in to help solve the problems social networks currently face, and developers will be able to experiment with many new forms of interaction.
https://blueskyweb.zendesk.com/hc/en-us/articles/19002666608397-What-is-Bluesky

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「デジタルプラットフォームのアルゴリズム」というもの

数字にこそ価値があり、その価値観に行動が引っ張られる。我々の日常生活に浸透したものとしてその構造がもっとも色濃く出ているのが、各種SNSやYouTubeといったデジタルプラットフォームの世界である。
この先もYouTubeの影響力はさらに高まり、SNS上での発信が世論形成を促す流れはこれまで以上に加速すると思われる。それに伴って、アルゴリズムをハックすることの重要度はより増していく。立花[孝志]が展開しているような選挙戦略をさらに洗練させて、既存の政党とは全く違う形で支持を集める存在が登場しても不思議ではない。
数字が全てという価値観の浸透は、それを快く思わない層が数字より大事なものを具体的に示すことなく「人文知」や「リベラルな思想」を当たり前に上等なものとして扱ってきたことの帰結とも言えるのではないか。
これから社会がアナログ中心の構造に戻ることはあり得ない。だからこそ、デジタルプラットフォームの特性を理解し、そのうえで正しいだけでなく面白くて魅力的なメッセージを発信し続けるしかない。そして、それらを単発ではなく、一つのムーブメントとして見せていくことが必要になる。
レジー「数と刺激とSNS:ファスト教養が社会と政治をハックする」『世界』2023年6月号

  • YouTubeは動画配信、SNSはメッセージのやりとり、ととらえると、YouTubeとSNSとの関係はどう把握すべきだろうか。どのような組み合わせが効果を発揮しているのだろうか。
  • ここでの議論でアナログとデジタルという概念は有効であろうか。数値はアナログ的にも表示できるしデジタル的にも表示できる。例えば、時間というものは、アナログ時計でもデジタル時計でも表示することができる。また、数字、数値、量的なものが「そうではないもの」と無関係に存在できるとは思えない。さらに言えば、「測り得ないものを測る」という行為は決して目新しいものではないように思う。もちろん、YouTubeやXなどの「おすすめ」のアルゴリズムを批判的に分析することは重要なことであろう。

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March 15, 2025

[資料]第2期北九州都市圏域連携中枢都市圏ビジョン(第4次改訂)令和6年7月

https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/001097668.pdf
「地域の中心都市である北九州市と近隣17市町が、「経済成長のけん引」「高次都市機能の集積・強化」「生活関連機能サービスの向上」の3つの柱をもとに連携し、人口減少・少子高齢社会においても一定の圏域人口を有し、活力ある社会経済を維持するための拠点を形成することを目的とする。」
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March 13, 2025

2つのグラフ(利益剰余金と人件費、生産性と実質賃金)

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生産性3割アップも「増えない給料」 原因は「貯めこむ大企業」にあった(TBS NEWS DIG 2025.02.25)

この2つのグラフが間違いでなければ、何が問題なのかが明らかだ。番組で登場する河野龍太郎氏は、日本経済の死角:収奪的システムを解き明かすの著者。

「儲かっても溜め込んで、実質賃金の引き上げも、人的資本投資にも慎重な大企業が長期停滞の元凶であることを明らかにしました。」
「イノベーションには収奪的なものと包摂的なものの二つのタイプがあって、前者は恩恵が一部の人に偏り、むしろ多くの人を苦しめます。」
「マクロ経済環境の下で、長期雇用制の枠外にいる人々がとりわけ苦境に陥っているから、日本版の『忘れられた人々』がアンチ・エスタブリッシュメント層を形成し、極端な言説の政治勢力を支持し始めているのではないかと心配されます。」
-- 河野龍太郎日本経済の死角:収奪的システムを解き明かす(ちくま新書、2025年2月)
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