投票率と政党得票率(衆議院議員選挙2026年福岡)
最初のグラフが示すことは、投票率が上昇するとどうなる、ということではなく、投票率の高い地域で得票率が相対的に高い政党と低い政党とがある、ということになる。投票率の低い地域で得票率が相対的に高い政党と低い政党とがある。 もちろん、一般的に、投票率は都市部で低い。
かつての「動員」は、労働組合や業界団体などの「垂直的な組織動員」を指していたが、近年の日本保守党や参政党、あるいは国民民主党などに見られる現象は、「SNS等による熱狂の動員」という側面があるようだ。(自民党のものも含めて、それらの政党が掲げている憲法「改正」の内容について、その問題性についてマスメディアは十分に伝えていない。)
今回のような1時点でのデータからは推論することはできないが、もしも、投票率の変化が生じた場合には、以下のようなことがおこるであろう。(この記事の最後で投票率の上昇と各党の得票率の「変化」との関係を取りあげた。)
統計的に「投票率が高くなったところでシェアが高くなる」のであれば、それは組織による「底上げ」ではなく、「これまで投票に行かなかった層をどれだけ引っ張り出せたか(=浮動票の獲得)」の結果であろう。
投票率が上がると得票率が下がるのが、「組織・動員型」という説明ができるかもしれない。つまり、固定票(組織票)が一定なため、分母(投票者数)が増えると相対的なシェアが薄まる(希釈効果)。

以下のグラフはSASで作成した。
投票率の上昇がどの政党の得票率の増減に連動したか
以下のグラフは、投票率の増分と得票率の増分の相関関係を示すものである。
有権者のエネルギー(投票率上昇)は、自民党へは「追い風」として、革新・新興勢力へは支持層を薄める「向かい風」として作用した。自民党が「正の相関」で票を吸い上げ、中道改革連合が「無相関」で停滞し、左派・新興勢力が「負の相関」でシェアを減らす結果となった。
グラフのバブルサイズは各投票区(区市町村)の有効投票総数を反映させている。
補足:「大数の法則」に関連して
統計的な傾向(回帰直線)から大きく外れる「逸脱的なケース」については、大数の法則の観点から捉える必要があります。一般に、有権者数が多い大規模な自治体では、個々の多様な投票行動が全体の平均の中に収斂されるため、統計的な安定性が高まり、全体的なトレンド(回帰直線)に近接する傾向があります。
一方で、有権者数が極めて少ない小規模な自治体では、分母が小さいために大数の法則が十分に機能せず、統計的な分散が大きくなります。その結果、特定の地域事情や有力候補による強力な組織動員といった局所的な要因が、得票率や投票率のパーセンテージに極端な変動(逸脱)をもたらしやすくなります。
本分析のグラフにおいて、バブルのサイズ(有効投票総数)が小さい地域ほど回帰直線から離れた「外れ値」として現れている現象は、この統計的特性を反映していると考えられます。したがって、これらの逸脱的なケースは、「その地域で何が起きたのか」を解き明かすための重要なヒントなので無視すべきではありませんが、小規模集団ゆえの「統計的揺らぎ」として理解すべき面があります。
付言すれば、統計的には「揺らぎ」として処理される範囲であっても、その「揺らぎ」が特定の方向(例:特定の政党への極端な偏り)を向いている場合、それは「偶然」ではなく「局所的な意思」が働いた結果であると解釈できます。
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